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音声ARはなぜ普及しないか? 実用化までの道筋と、必要なキラーコンテンツ。

みなさんは「音声AR」という技術をご存知でしょうか。

ARやVR技術が普及しはじめた頃から、期待されていた技術のうちの一つですね。

映像のARといえば、なんらかの方法で空間に映像を投影し、現実空間の視覚情報に仮想空間の情報を追加することで、現実を拡張する《Augmented》技術のことでした。

つまり、現在ARといえば、ほぼイコールで「映像の拡張現実」のことになるわけですが、本来は五感それぞれに対しての拡張現実を考えることができるわけです。

そのなかでも、聴覚にはたらきかける音響技術はほかの触覚・嗅覚・味覚に関わる技術より実現しやすく、また様々な情報をもたせることができる点で優位です。

では、この音声ARが映像のARのように普及してくるのはいつごろになるのでしょうか?

また、現在、映像のARに比べて普及が遅れているのにはどういった理由があるのでしょうか?

今回はこの疑問について調査・考察してみたいと思います。

普及しない理由その1:要素技術が足りない

「音声ARに必要な要素技術が成熟していない」のが原因である可能性があります。

まず、現実の音声と拡張現実上の音声を重ね合わせるためには、イヤホンは「開放型」とよばれる形式である必要があります。

一般的なイヤホンは、つけると外の音がこもります。積極的に音を遮断するカナル型イヤホンはもちろん、いわゆる普通の形、インナーイヤー型もある程度遮音してしまいますので、イヤホンをつけていない状態とはかなり変わってしまいます。

開放型イヤホンは、物理的に外の音を取り入れる穴が空いている、またはマイクで取り込んだ外の音をスピーカーで再生しているので、イヤホンをつけていない状態に近い音声環境を得ることができ、音声ARの没入感を増す効果があります。

(骨伝導イヤホンでも同様の効果があります)

このタイプのイヤホンは、総じて構造が複雑になったり、イヤホンの通常使用時の性能を維持するのが難しかったりと、値段が高いわりに性能が今ひとつであるというデメリットがあります。

さらに、ロケーションベース音声AR技術を実現するためには、GPSで自分の場所を把握する必要があることはもちろんのこと、耳がどの方向を向いているかをリアルタイムに正確に把握する必要があるため、イヤホンへの加速度センサーや方位磁針の搭載が必要になってきます。スマホとの連携なしで動作するためには、イヤホン本体にもGPSが必要です。

これらの機構をイヤホンに入れるのは無理があるので、ヘッドホンやヘッドセットのような形状のデバイスが、音声ARを実現するデバイスのスタンダードになるでしょう。

値段は部品ごとのコストを足しただけでも3万円は超えるので、かなり大型かつ高額なデバイスになりそうです。

普及しない理由その2:コンテンツが足りない

これは卵が先か鶏が先かの議論にもなってしまいますが、ARコンテンツというまだまだマイナーな市場、その中でも音声だけのコンテンツとなると、なかなか先行投資的に制作をはじめるスタジオも足りないのではないでしょうか。

映像のARが少し普及しはじめているのは、コンテンツがもともと存在していて、スマートフォンをかざせばARが楽しめる、プラスアルファの要素として追加しやすかったからだと筆者は考えています。音声ARにはそれがなく、最初から音声AR専用コンテンツとして普及をはじめる必要があることが、高いハードルになっている可能性があります。

映像ARより優位性がある分野として、単純な道案内や観光ツアー、教育施設の見学などでの音声案内を考えていますが、ただ録音したモノラル・ステレオ音声を再生するだけではなく、インタラクティブな立体音響を活用した仕掛けを考える必要があります。

現状の音声ARコンテンツは、ごく限られたエリアでスマホの位置情報に応じて音声を流しているだけというものが多く、スピーカーと人感センサーを設置すれば事足りるような用途がほとんどです。

音声ARにしかできない、魅力的なキラーコンテンツの登場が待たれるところです。

普及しない理由その3:開発者が足りない

当たり前のことですが、コンテンツを作るには開発者が必要です。現在、VR・ARの領域は成長が著しく、開発者がまったく足りない状況になっています。

その少ない開発者の中で、音声をコンテンツのメインとして扱うことができる開発者となると、さらに数が限られてきてしまいます。

iPhoneの普及に、X Code というアプリ作成のための開発環境が重要な役割を果たしたように、音声ARにも専用のプラットフォームや開発環境、もしくはARToolKitのような音声ARに特化したライブラリとサンプルコードなどが必要でしょう。

まとめ

視覚を邪魔することなく聴覚だけで追加の情報を得ることができる音声ARは、これから間違いなく伸びてくる技術、コンテンツです。

デバイスやコンテンツの作成が難しく、まだまだ普及までの道のりは険しいですが、裏を返せばそれだけブルーオーシャンが広がっているということでもあります。

筆者としても、引き続きこの分野の進展をウォッチして、ベストなタイミングで参入ができるようにアンテナを張っていきたいと思います。

 

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