突然ですが、みなさんは「ホロライブEnglish」をご存知でしょうか?
カバー株式会社が運営する「ホロライブプロダクション」が英語圏向けに立ち上げたアイドルグループで、9月12日,13日(日本時間)に初配信を行い、いま破竹の勢いでファンを増やしています。
特に、「Gawr Gura(がうる・ぐら)」がミームの広がりも手伝ってVTuberファン以外からも注目を集めており、この勢いが継続すれば11月中、多少の減速があっても年内にはチャンネル登録者は100万人を超えると思われます。
短期間でこれだけ登録者を伸ばすVTuberは史上初で、登録者数でもキズナアイに次ぐ位置に来るのは時間の問題でしょう。
これは筆者の体感ですが、2017年の末から2018年の頭にかけてのVTuberブームに次ぐ熱狂が、主に海外から感じられます。
そこで、黎明期からVTuberを追っている者として、何がきっかけで海外ニキがここまで熱狂したのかを考察していきたいと思います。
海外ニキ……「海外」+「アニキ」。海外のオタク同士を親しみを込めてこう呼ぶ。女性は海外ネキ。
伏線:ホロライブ(日本のほう)の海外人気
ブームが発生するためには、たいてい下地が必要です。
そして、この第二次VTuberブームにはしっかりとした下地がありました。
以前は英語圏アニメオタクにとってVTuberとは「字幕がつかない不親切なアニメ」くらいの認識で、たまに変な英語をしゃべった場面がバズるくらいの存在でした。キズナアイのふぁっきゅー、さくらみこのNワードやステイホーム、白上フブキのアイムスキャットマンなどが海外のネットミームになり、該当動画や切り抜き、アレンジ動画の再生数は増えるものの、それ以上はなかなか広がらないという感じ。
そんな英語圏と日本語圏の橋渡しをしたのが、桐生ココがはじめた毎日のホロライブの見どころやニュースを短時間で紹介する生放送、「あさココ Live News」です。
見やすい番組構成、ところどころ差し込まれる海外ニキ達も楽しめる英語コンテンツ、英語コメントを読んでもらえ、英語で返事が来るライブ感など、あくまで日本語中心でありながら、海外ファンを着実に増やしていきました。
すると、YouTubeのレコメンドアルゴリズムにより、あさココを見た人のオススメ欄には英語字幕のついた、もしくは字幕が必要ないたぐいの動画が大量に並びます。
ここまで来るともう後戻りはできず、いわゆるコンテンツの沼にハマることになります。英語圏オタク風にいえば fall down the rabbit hole. 熱心なファンはいつのまにか日本語ヒアリング能力も上達し、日本語オンリーの長時間生放送をずっと聞いていられるようになります。そして英語字幕のついた切り抜きを量産してさらに沼にハマる人を増やしていくのです。
こうしてファンと公式が協力して英語圏へのアプローチを強化していき、そろそろ次のステップに進みたい……というタイミングが2020年秋でした。
偶然か必然か、ホロライブEnglishのデビューは最高のタイミングだったわけですね。
現在おこっていること
第二次VTuberブームの先頭を走っている、いまもっともアツい海外VTuberシーン。これを率いるホロライブEnglishは、VTuber全体やホロライブという箱がもつファン層を超え、アニメファン5000万人にアプローチを開始しています。(クランチロールの会員数≒海外オタクの数とする)
オタクという生き物は、自分の好きなものを全力で仲間に布教する性質がありまして、いちど始まったこの流れはなかなか止まらないと考えています。
海外アニメオタクのインフルエンサー Gigguk が英語でVTuber文化を解説する動画。まとまっていて見やすい↓
日本語訳(非公式)はこちら→ https://www.nicovideo.jp/watch/sm37627072
もっと知りたい方はこちらもオススメ。対談形式で「わからない側」の人がいろいろ疑問を聞いてくれます↓
もともと超ハイコンテクストな文脈から出発しているVTuber文化が、こういったインフルエンサーの言葉を借りて世界に広がっていく様子を見ていると非常に感慨深いものがありますね。
なぜ日本でVTuber文化が花開いたのか、この文化はどこまで世界に広がるのかといった分野についても、機会があれば論考してみたいと思います。
未来におこること
はたしてこのVTuberブームはどこまで広がるのでしょうか?
他の産業を巻き込むほど成長するのか、はたまた一過性のものとしてしぼんでしまうのか。
筆者はVTuberオタクなので客観視できていると断言はできませんが、おそらくこのブームはさらに加速して広がっていくと考えています。
まず、直近の未来では、ホロライブEnglishの二期生、三期生とデビューするタレントが増えていくでしょう。他社VTuber事務所もより英語圏に力を入れていくと思います。コンテンツの供給が増え、ファンも増え続ける正のスパイラルはしばらく続くと思います。
アニメ産業との1番の違いは、日本風アニメを作ることができるクリエイターの海外での層の薄さと比較して、ストリーマーは無限に存在する点です。デビューにはLive2Dモデルが必要ですが、Live2Dモデラーはアニメーターやプロデューサーと比較すれば日本も海外も十分 な供給がありますし、技術習得も容易です。この参入障壁の低さが、海外で活動をはじめるVTuberにも追い風になるでしょう。
ところで、ゴールドラッシュでスコップを売る人ではありませんが、英語も日本語もできるLive2Dモデラーの需要がとても高まりそうですね。
海外市場、とくにアメリカ市場の特徴として、日本市場と比較してハイスペックPCやHMDを持っているユーザーが多いので、リッチなVRコンテンツをつくるVTuber事務所も増えてくると予想しています。というかそうなって欲しい。分母が大きければ大きいほど供給されるコンテンツもリッチでバリエーション豊かになっていくので、筆者もいちVTuberファンとして全力で市場拡大のお手伝いをしていきたいです。
まとめ
VTuberがより身近になり、世界で通用する文化になる未来はもうすぐそこまで来ています。
YouTubeが企業の広報戦略に必須になったように、VTuber を企業の広報担当部署が当たり前のように活用する未来も、案外すぐに来るのかもしれません。
かつでのYouTuberがそうであったように、個人、企業問わず、参入は早ければ早いほど先行者利益を得ることができます。
ぜひみなさんもVTuberの世界に飛び込んでみませんか?
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